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あおり運転とは|現状や対策、法改正に向けての動きまで一気に解説

あおり運転が社会問題化しています。

最近では、常磐自動車道であおり運転をした上、相手運転者を殴って怪我をさせた男性が傷害罪で逮捕された事件はマスコミなどでも大きく報じられました。

今や多くの人が車を運転する世の中です。

したがって、誰しもがあおり運転をする側される側に立ちうる世の中です。

そこで、この記事ではあおり運転とは何なのか、その現状や対策、今後の法改正に向けた動きまで、あおり運転で必要となる知識を解説いたします。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。

あおり運転とは

まずは、あおり運転の概要をご説明します。

あおり運転の定義

実をいうと、法律上、あおり運転の定義に関する規定及びあおり運転そのもの処罰する法令、罰則はありません。

MEMO
ただし、あおり運転そのものを処罰することを可能とする改正道路交通法の法案が来年度(2020年度)の国会に提出される予定です。

あおり運転の基本類型

では、現行法上、どのような運転があおり運転とされるのでしょうか?

この点、警察庁が2019年1月に公表した通達によると、あおり運転の例として以下の運転を挙げています。

①車間距離保持義務違反
②急ブレーキ禁止違反
③進路変更禁止違反
④追い越しの方法違反
⑤減光等義務違反
⑥警音器使用制限違反
⑦初心者運転者等保護義務違反

これらに関する規定は全て道路交通法に設けられています。

あおり運転に適用される刑法犯罪

また、あおり運転に道路交通法ではなく刑法が適用されることもあります。

刑法の中でも多いのが⑧暴行罪(刑法208条)です。

詳細は以降で解説します。

あおり運転の類型別解説~罰則、反則金、違反点数

では、1でご紹介した類型別にその詳細を解説してまいります。

車間距離保持義務違反

根拠規定:道路交通法26条
「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない」

あおり運転の違反例

時速約70kmで進行中、同一進路(ア)を進行している車両の約10メートル(イ)後方に追従して進行した。

ア:進路(車線)が異なる場合、車間距離保持義務違反は成立しません。
イ:「必要な距離」を保たなかった場合、車間距離保持義務違反が成立します。

「必要な距離」は「停止距離(空走距離+制動距離)」を最低限の目安とします。

以下、各時速の停止距離を一覧にします。

akira

ただし、停止距離は道路状況などによって異なります

道路が乾燥状態の場合

時速 20㌔ 30㌔ 40㌔ 50㌔ 60㌔ 70㌔ 80㌔ 90㌔ 100㌔

停止距離 6.42 11.31 17.33 24.48 32.75 42.14 52.66 64.30 77.07

MEMO
参照:図解交通資料集第4版牧野隆編著立花書房

*空走距離=ブレーキをかけようとする瞬間からブレーキを踏みこんで減速を開始するまでの距離
*制動距離=減速を開始してから車を停止させる場合の距離

上記の速度で進行している場合、上記の停止距離以上に車間距離を保っていないと追突します。

上記の停止距離以下で進行していた場合、車間距離保持義務違反に問われる可能性があります。

罰則、反則金、違反点数

罰則

ⅰ高速自動車国道及び自動車専用道路の場合

3月以下の懲役又は5万円以下の罰金

ⅱⅰ以外の場合

5万円以下の罰金

*高速自動車国道=全国規模で展開されている高速道路。都市高速道路は自動車専用道路に当たる。

反則金

ⅰ高速自動車国道及び自動車専用道路の場合

大型車1万2000円
普通車9000円
二輪車7000円
原付車6000円

ⅱⅰ以外の場合

大型車7000円
普通車6000円
二輪車6000円
原付車4000円

*大型車=大型自動車、中型自動車、準中型自動車、大型特殊自動車、トロリーバス及び路面電車
*普通車=普通乗用自動車
*二輪車=大型自動車二輪車、普通自動二輪車
*原付車=小型特殊自動車、原動機付自転車

違反点数

ⅰ高速自動車国道及び自動車専用道路の場合

2点

ⅱⅰ以外の場合

1点

急ブレーキ禁止違反

根拠規定:道路交通法24条

「車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない」

あおり運転の違反例

相手車両の進行を妨害する目的(ア)で、相手車両の前に出て急ブレーキ(イ)をかけた

ア進行妨害は「危険を防止するためやむを得ない場合」には当たりません。

進行中の直前に人が飛び出してきたなどという場合は「危険を防止するためやむを得ない場合」に当たります、

イ「急ブレーキ」には、ブレーキを力一杯踏むことはもちろん、最も短距離で停止できるような強さで踏むことも含まれます。

罰則、反則金、違反点数

罰則

3月以下の懲役又は5万円以下の罰金

反則金

大型車9000円
普通車7000円
二輪車6000円
原付車5000円

違反点数

2点

進路変更禁止違反

根拠規定:道路交通法26条の2

1項車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2項車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
3項(略)

あおり運転の違反例

以下では、2項の違反例をご紹介します。

違反車両をA車、「変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等」をB車とします。

アA車とB車が並進して進行している際、A車がB車の直前に進入した。
イA車が追い抜きによってB車の直前に進入した。
ウA車が追い越しをするため進路を変更しようとする場合、その変更後の進路と同一の進路を後方から進行してくるB車の直前に進入した。
エ追い越しをするため、A車が前車のB車を追い越しその側方を通過した後、B車の直前に進入した。

罰則、反則金、違反点数

罰則

5万円以下の罰金

反則金

大型車7000円
普通車6000円
二輪車6000円
原付車5000円

違反点数

1点

追い越しの方法違反

根拠規定:道路交通法28条

1項車両は、他の車を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という)の右側を通行しなければならない。
2項車両は、他の車両を追い越そうとする場合において、前車が第25条第2項又は第34条第2項若しくは第4項の規定により道路の中央又は右側端に寄って通行しているときは、前項の規定にかかわらず、その左側を通行しなければならない。
3項(略)
4項(略)

あおり運転の違反例

1項違反

前車と同一進路上を進行していたところ、その左側から追い越し(ア)た。
2項違反

前車が道路の中央に寄って通行しているときに、その右側から追い越した(イ)。

ア車線変更が必要な場合を「追い越し」、必要ない場合を「追い抜き」といいます。したがって、追い抜きの場合は左側から抜いても違反にはなりません。
イ2項は右側追い越しの例外です。

車両は、道路外に出るため右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央により、かつ、徐行しなければなりません(道路交通法25条2項)。
前車がこうした状態にある場合は、その後方から進行する車両は、右側からではなく左側から追い越さなければなりません。

罰則、反則金、違反点数

罰則

3月以下の懲役又は5万円以下の罰金

反則金

大型車1万2000円
普通車9000円
二輪車7000円
原付車6000円

違反点数

2点

減光等義務違反

根拠規定:道路交通法52条2項

2項車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通の妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。

あおり運転の違反例

車両等の直後を進行していた場合(ア)に、前照灯を上向きにして走行した(イ)。

ア「直後」とは、車両等の何メートルくらいかという基準はありません。

車両等は他の車両等の後方を進行する際は適切な車間距離を保持しなければなりません。この車間距離が一応の「目安」にはなりますが、車間距離以上に距離を保持しても灯火を操作しなければならない場合もあります。

イ必要な操作方法は道路交通法施行令20条に規定されています。

その2号では、「光度が一万カンデラを超える前照灯を付けている自動車(多くの自動車がこれに該当します)」は「前照灯の光度を減じ、又はその照射方向を下向きにすること」と規定されています。

罰則、反則金、違反点数

罰則

5万円以下の罰金

反則金

大型車7000円
普通車6000円
二輪車6000円
原付車5000円

違反点数

1点

警音器使用制限違反

根拠規定:道路交通法54条2項

2項車両等(自動車以外の軽車両を除く。)の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはいけない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。

あおり運転の違反例

やむを得ない事由がないのに、クラクションを鳴らした。

道路交通法上、クラクションのことを「警音器」といいます。

警音器は「法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合」を除き鳴らしてはいけません。

「法令」とは道路交通法と道路運送車両法のことを指しますが、道路交通法ではその54条1項で、次の場合は警音器を鳴らさなければならないとされています。

・左右の見通しがきかない交差点、見通しのきかない道路のまがりかど又は見通しのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき
・山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき

つまり、道路交通法上、上記の場合のほか、「危険を防止するためやむを得ない場合」以外はクラクションを鳴らしてはいけません。
あおり運転で警音器を鳴らすことはもちろん、お礼の意味で警音器を鳴らすことも法律上は違法なのです。

罰則、反則金、違反点数

罰則

2万円以下の罰金又は科料

反則金

一律3000円

違反点数

なし

初心者運転者等保護義務違反

根拠規定:道路交通法71条5号の4

車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
自動車を運転する場合において、第71条の5第1項から第3項まで(以下、略)に規定する仮運転免許を受けた者が表示自動車(第71条の5第1項から第3項まで(以下、略)に規定する標識を付けた普通自動車)を運転しているときは、危険防止のためやむを得ない場合を除き、進行している当該表示自動車の側方に幅寄せをし、又は当該自動車が進路を変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる表示自動車が当該自動車との間に第26条に規定する必要な距離を保つことができないこととなるときは進路を変更しないこと

あおり運転の違反例

ア初心者マークを付けている車の側方に自車を近接させた
イ片側2車線の道路において、追い越し車線を進行してくる初心者マークを付け
た車の直前に自車を割り込ませた

ア上記規定の「~幅寄せをし」に関する違反例です。

「表示自動車」とは初心者マークを付けた車のほか高齢者マークを付けた車なども含まれます。したがって、高齢者マークを付けた車に同様の行為を行うとやはり違反に問われます。
「幅寄せ」とは、自動車の運転者が、表示自動車を追い越し又は追い抜きをするとき、その自動車との間に安全な側方間隔をとり、かつ、平行状態で進行すべきであるのに、故意にハンドルを切ってその自動車に近接することをいいます。

イ上記規定の「進路を変更しないこと」に関する違反例です。

「第26条に規定する必要な距離」の目安としては、(1)でご説明したとおり停止距離のことをいいます。

したがって、進路変更後、表示自動車との距離が停止距離あるいはそれに近い距離になるになるおそれがあるにもかかわらず進路を変更した場合は初心者運転者等保護義務違反に問われるおそれがあります。

さらに、表示自動車の速度又は方向を急に変更させることとなるほど距離が近接している場合は初心者運転者等保護義務違反ではなく、進路変更禁止違反(道路交通法26条の2)に問われるおそれがあります。

罰則、反則金、違反点数

罰則

5万円以下の罰金

反則金

型車7000円
普通車6000円
二輪車6000円
原付車5000円

違反点数

1点

暴行罪

以上(1)から(7)の違反は道路交通法上を根拠とする違反です。
しかし、罰則についてはいずれも比較的軽微なものばかりで、あおり運転の実態にあわないとの批判もなされています。
そこで、あおり運転の態様などによっては、道路交通法ではなく、刑法の暴行罪(刑法208条)が適用されることがあります。暴行罪の罰則は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
警察庁はホームページで「故意に自車を著しく接近させるなどの運転態様、当事者の認識、周囲の道路状況等に照らし、その行為が、相手の運転者に対する有形力の行使と認められる場合には暴行罪が成立する場合がある」としています。

*あおり運転に暴行罪が適用された事例*
・2018年7月、約2キロにわたり急接近や幅寄せを繰り返して停止させる(愛媛
県伊予市)
・2019年3月700から800メートルにわたって車間距離を詰める(静岡県沼津市)
・2019年4月急ブレーキで2度にわたって急停止させる(佐賀県武雄市)

あおり運転対策

では、こうしたあおり運転を受けないためにどういう対策を行えばよいでしょうか?あおり運転の事前と事後にわけてご紹介します。

事前の対策(あおり運転に遭う前に・・)

車にステッカーを張る

「赤ちゃんが乗っています」とか「防犯ビデオカメラ搭載車」などと書かれたステッカーを張ります。これによって、一定程度、あおり運転の抑止が期待できます。

ドライブレコーダーを設置する

ドライブレコーダーに記録された映像は、あおり運転の犯人や事実を特定する上で極めて重要な証拠となります。

運転に気を付ける

以下ではあおり運転の原因(左)と回避方法(右)を記載しています。

・急な車線変更→サイドミラーなどで後方をよく確認し、車との距離を十分にとってから車線変更する
・追い越し車線での継続走行→いつまでも追い越し車線で走行せず、すぐに走行車線に車線変更する
・クラクションを鳴らした→不必要なクラクションは鳴らさない
・指定、法定速度を大きく下回る速度で走行しない→指定、法定速度を守って走行する

事後の対策(あおり運転に遭ったら・・)

まずは道を譲る

まずは、周囲の状況を確認しつつ、車を安全な場所に停めて道を譲りましょう。車を停める場所はなるべく人目の多い場所がベストです。気持ちを落ち着けて相手の挑発に乗らないようにしましょう。

警察に110番通報する

それでも相手が立ち去らず車を停められ、車から降りて挑発してきた場合は110番通報しましょう。このとき、絶対に窓を開けたり、車外に出てはいけません。相手から暴行を受けたり、他の車に轢かれるなどの二次被害に遭う危険があるからです。

スマートフォンなどで相手の言動、車のナンバーなどを記録する

そして、警察官が来るまで相手の言動や車のナンバーなどをスマートフォンなどで記録しましょう。その映像が犯人や犯罪事実(たとえば、暴行罪、器物損壊罪などの事実)を証明するための重要な証拠となります。

あおり運転罪創設?~道路交通法改正に向けての動き

あおり運転が社会問題となっていることを受け、法案の立案者である警察庁が動き出しています。
2019年10月7日、警察庁は自民党の交通安全対策特別委員会で、道路交通法にあおり運転の定義を設け、前記2とは別の新しい違反類型の創設、既存の罰則の引き上げについて検討する方針を打ち出しました。

また、警察庁は、11月8日、あおり運転について、免許停止よりも重たい免許取消しの行政処分を科すことができる方向でも検討を進めていることを発表しました。現行、違反歴がない人が「6点」で免許停止(30日間)ですから、あおり運転で摘発された場合はそれより高い点数となることが予想されます。
警察庁は、来年の通常国会で改正道路交通法の法案を提出する予定です。法案が通れば、来年の秋頃に、あおり運転が創設された改正道路交通法が施行されるかもしれません。

まとめ

以上、あおり運転について解説してまいりました。

日頃、暴力的でない人でも、ひとたび車を運転すると別人となる人がいます。車は人の気持ちを大きくさせる道具ともいえますが、大きな事故に発展しないよう、あくまで冷静に安全運転に努めていただければと思います。